繋がらない携帯
「志津川にいる、甥っこの携帯は、繋がるから
甥っことだけは、話しが出来るんだけど、
ドコモの携帯は、まったく繋がらない・・・
あんちゃん2人は、年寄りだから、携帯なんて持ってないんだよ。
姪っこは、ドコモの携帯持ってるんだけど、
いっくらかけても繋がらないから、あんちゃんたちとも震災のあと
一度も会話してないんだ・・・」
と。
現状、志津川では、ドコモの携帯が一切通じないらしい。
電話の繋がる甥っこは、仕事中、地震に遭って
車で逃げたけど、津波が押し寄せてきて
逃げ切れないと判断して、車を降りて、走って高台まで避難したそうだ。
そのすぐあと、車は津波に飲み込まれたそう。
おばちゃんの実家の近くには、足の悪い90歳を超えたおばあさんがいたらしい。
「歩けないし、あのおばあちゃんは、
きっと亡くなったよね・・・」
と、みんなで話していたら、生きていたそうだ。
普段、仲が悪くて、いつも言い合いして、ケンカが絶えなかった
90歳の足の悪いおばあさんと、嫁。
お互いに、悪口を言い合っていて、近所でも仲が悪いと有名だったらしい。
津波がきたとき
そのお嫁さんは、仕事をしていた職場を飛び出し、自宅に戻り
90歳のおばあさんをおんぶして、走って避難したそうだ。
表向きに、文句言い合う嫁と姑。
周りには、仲が悪いと思われていた、二人の関係。
でも、お嫁さんの心の中には、
大事な存在として、お義母さんがいたんだね。
表向きの言葉や態度では、判断できないな。
人の心の中って・・・
と思った。
会社のおばちゃん甥っこは、毎日ボランティア活動をしているそうだ。
みんな助け合って、頑張っている。
テレビで放送されているのが、すべてじゃない。
みんな前向きに、明るく毎日を過ごす努力をしているそうだ。