自慢のカメラ

会社のおばちゃんは、先週の金曜の夜、車で横浜を出発して
実家の志津川に行ってきたそうだ。

志津川の実家に帰る前日
崖から飛び降りる気分で、
デジカメ
買ったらしい。

で、志津川の様子を写真に撮ってきて見せてくれた。

「血圧が高いんだから、実家の様子を目の当たりにしたとき
ショックを受けて、気分が悪くなるかもしれないから
気をつけてね！」
と言っておいたんだけど・・・

そんな心配、一切不用だったらしい。

あまりに見事に、実家が流されてて、妹と笑っちゃったそうだ。

実家は、基礎部分だけ。

次男のお兄さんの家は跡形もなく消え去っていて、
自分の家の敷地すらわからない状況だったらしい。

兄弟、親戚のいる避難所を回ったとき、
おしるこ
を
どうぞと出されたそう。

同じ避難所に避難されてる方が、おばちゃんたちが訪ねてきてるのを知って
人数分のおしるこを、わざわざ部屋まで持って来てくれたんだって。

「私たちは、兄弟に会いに来たんです。
ここに避難してる訳ではないので・・・」
と断ったのに

食べて！
食べて！！
と言われたそう。

でも、食べれなくて
炊き出しの方に返しに行ったら

「どうぞ、気にせず食べてください」
と言われたそう。

そのおしるこが、すっごく美味しくて

美味しい！美味しい！！
と言ったら、

「おかわりどうぞ～」
と言われ、おかわりまでしたそうだ。

まわった避難所では、牛丼が出てきたり、食べ物は豊富にあったそう。

靴下、下着、洋服、布団・・・
何でも新品で山積みされているんだって。

ここで、また、おばちゃん・・・

「私が、もらいたいくらいだったよ！」
だって。

避難所の物資は、豊富にあったそうだ。
避難所にいれば、食べるものにも着るものにも困らないそう。

寄付された古着もたくさんあったけど、新品が山積みになってるから、
古着を持っていく人は、誰ひとりいないんだって。

避難所にいない人は、どうしてるんだろう？
って、おばちゃんが言ってたよ。

確かにそう思う。
避難所生活は、不便だけど、いちばん安心安全な場所なんじゃないかな。

そして、デジカメ買った、おばちゃん。
毎日、カメラを持ち歩いてるそう。

そんなある日。

電線を歩いてるタヌキを見た！
と言っていた。

あまりに驚いて、自慢のカメラでタヌキ撮り損ねたそうだ。

近いうちにタヌキ撮ってくるって言ってたけど・・・
タヌキなんて、横浜にいるのかな？

ま、タヌキの写真、楽しみに待つことにします。

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